2009年01月22日

ロングスパッツ問題と石井慧 ★ 日本格闘技界に足りないものって

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こんにちは、おも格です。世間の話題はすっかりオバマ一色。じつは、米国政治には醒めた視線しか投げかけられずにいた僕。そして、「これはプロのスピーチライターが書いたんだ(実際はライターとオバマさんの共作らしいです)」とわかってはいても、胸が熱くなった就任演説(毎日新聞さん全訳)。動画はこちら(ワシントン・ポストさんサイト)からいろいろ見られます。

さて、日本マット界の政治状況はどうなっているんだろう。戦極に参戦し、五味を倒した男・セルゲイ・ゴリアエフがライバル団体FEGのK-1MAXに参戦。その裏事情はともかく、佐藤嘉洋にどこまで通用するのか、その試合っぷりが今から楽しみです。なんせ、元々はムエタイの選手ですから。

昨年は、魔裟斗 vs 佐藤の神試合をはじめ、歴史に残る名勝負を連発したK-1MAX。ただ、2点だけ課題を残しました。ひとつは「9-8問題」。こちらはルールの改正で対処済。残る宿題は、ロングスパッツの着用禁止について。今年も禁止するのかな。



★ 青木真也のロングスパッツ問題

昨年のリニューアル以来、僕的に「ド真ん中」な記事を連発している雑誌・格闘技通信。明日発売の3月号では、一部のファンの間で論議を呼んでいる「ロングスパッツ問題」についての特集もあるようだ。

このロングスパッツ問題というのは、青木真也や北岡悟のコスチュームの是非を問うもので、「特殊な素材を使っているのでは」「グラップラーが滑り止め効果のあるスパッツを着用するのは卑怯では」という議論が、主に2ちゃんねるなどで繰り広げられていたようである。

じつは、スパッツ問題については、僕もこんな記事を書いていたし、とても関心のあるテーマだ。
【動画】スパッツ問題で注目される新素材、d3oの威力★MMAまで波及するか!?青木真也はどうなる?道着も含めて考えてみた

これについて、青木の後援者的存在であるらしい公武堂さんが、同社の手掛けるネットTVの番組内で特集をされた。生放送される公武道TVにおいては、視聴者とのチャットも行われているとのこと。ということで、かねてからの疑問を解消するべく、当日の1月12日、生放送チャットに参加してみた。

いくつか質問させていただいたが、僕の疑問点は下記につきる
・青木のスパッツには特殊な素材が使われているのか?その素材は市販されている?

はたして、チャットなるものに不慣れなワシのぶしつけな質問に、パーソナリティーを務める長谷川社長と梅村寛選手はしっかりと正面から答えてくださった。

・素材は量販店で市販されているもの。特に変な加工もしていない。

僕なりの結論は
・今後、有利な素材が開発されれば、ルールで制限されない限りはそれを使用する選手も出てくるだろう。
・現状のスパッツには若干の滑り止め効果はあるものの、問題にするほどではない。むしろ、道着やレスリングシューズなどの方が試合の行方に影響する(当たり前か)。
・ルールで認められている以上は、その行為を非難するのはおかしい(青木が卑怯という論調は変だよな)。
・問題なのは、新素材開発の可能性などを理由にK-1MAXでは禁止したロングスパッツを、Dreamにおいては放置している主催者FEGの「二重基準」にある。

ということ。
また、今後の対応として、以下のような形が望ましいとも思った。
・出場選手には、主催者が提供する素材なりコスチュームなりの使用だけを認める。
・その場合でも、通常の素材を使用する限りは大した影響のないスパッツはともかく、道着やシューズ着用については事前の届出が必要とする。
・または、明らかに有利なコスチュームについてはその着用を禁止するか、相手選手に何らかのアドバンテージ(ポイントであるとかボーナスであるとか)を与える。

もちろん、もっと有効な策はあるだろう。ただ、FEGが競技という体裁を整えたいのならば、なんらかのルール改善をする必要性は今後出てくるんじゃないかな。これまでのように「所詮は興行」と割り切るのならば、コスチュームなんぞに神経をつかう必要はないだろう。そのかわり、業界のしがらみがなく、競技志向の強い有望選手は、この団体のMMA興行を避けるというケースが出てくるかもしれない。石井慧のように。

公武道TVさん
生放送は、毎週月曜日23時より。こちらでログ映像も見られます。時間が合わなくてなかなかリアルタイムでは視聴できませが、また機会があればチャットにも参加してみたいです。



★ 選手にとって魅力ある日本格闘技界であってほしい

同番組ログを見直してみると、僕が途中退席した後も興味深い話が続いていた。たとえば「UFCでの青木真也を見たい」という視聴者の問いかけがあった。これに対して梅村さんは、UFCに匹敵するしっかりした舞台を日本で実現してほしい、と。日本マット界は、まだそこまで成熟できていないという主旨の発言をされていた。まったく同感だ。

UFCといえば、今、僕の関心は石井慧の今後の活躍に向いている。おも格では、過去に石井慧を取り上げる記事を沢山アップしてきた。UFC行きが確定したのちは、日本のマット界を見棄てる石井には共感できないという主旨のコメントも寄せられた。

私見であるが、石井の選択は、誰にも非難できないのではないか。彼が戦いたい場所は日本ではなくアメリカに存在した。それだけのこと。

もうひとり。格オタからインディープロレスファンまで投票するネットプロレス大賞で、MMAの試合では最高位を獲得した佐野哲也選手。THE OUTSIDERで4冠をゲットした佐野さんは、格闘技はあくまで趣味とおっしゃる。彼のような有望選手が喜んでプロになりたいと思えるような、そんなマット界になってほしい。しっかりとした土台を作るのは、選手ではなく主催者の責任だ。

「総合格闘技」という名称で興行が行われるようになったのはUWFから。以来、プロレス方式を踏襲したとされる試合の作り方から先鋭的ルールを含めて、この何十年もの間、日本の格闘技界は試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ今の形に近づいていった。

一昨年にはプロレスの残り香を感じさせる最後の格闘技団体PRIDEが売却され、消滅。そして昨年、FEGがDreamをスタートさせたとき、ついに競技と呼ぶにふさわしいメジャーMMA興行が日本でも誕生するかもしれない、と思った。ところが1年たった今、その競技性に関する主催者の意図が明確に見えてこない。石井慧や佐野さんが人生を賭けるに値する舞台が整うには、まだしばらくの熟成期間が必要なのかもしれない。僕はあきらめません。

かつて投票権を持たなかった黒人の老女は、オバマ大統領の就任演説を聴いて「生きてて良かった」とおっしゃったいう。僕も「やっとここまで来たな。格闘技を見続けていて良かった」と心から喜べる時がくると信じているのでありますよ。

ネットプロレス大賞 ブラックアイ2さん、集計おつかれさまでした。
●佐野哲也さんのブログ、スイミング・アイ
●佐野哲也さんの凄い試合は、こちらから視聴可能(有料ですが、見る価値ありますよ)。携帯(ドコモ)の方は、こちらも。



●石井慧がまた過激発言。最新情報は→プロ格のブログランキングへ。応援よろしくお願いします。

posted by おも格 at 19:37| Comment(19) | TrackBack(2) | 格闘技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>・現状のスパッツには若干の滑り止め効果はあるものの、問題にするほどではない。
これはやはり私はまだ疑問ですよ。
というのも、確かに通常の素肌に比べて大した違いはないでしょう。
でも試合中は相手も自分も汗をかきますし、片方ではない両方が汗をかいた状態というのはかなり滑るようになるものです。
この段階になっても大した差が出ないとはとても思えません。
例えば固いふたを開けようとするとき、滑らないように普通の布巾を挿むだけでも全然違うでしょう。
濡れてもいない乾いた手でも滑るのに、湿った普通の布巾を挿むだけで全然滑らなくなり簡単に開けられたという経験は誰にでもあると思います。
汗で濡れている状態と汗を吸ったスパッツの摩擦力の差は絶対に少なくないと思うのですが。
UFCのように顔に塗ったワセリンが試合中に身体につくようなルールだとなおさら効果があると思います。
Posted by 式 at 2009年01月22日 20:34
おも格さん復活してたんですね。
お久しぶりです
石井については日本を選んでくれなかったのは残念だなぁ。
日本の団体にいながら内から改革する手段もあっただろうし。
それに、川●の所にマネージメントさせてるのが心配です。
Posted by みや at 2009年01月22日 20:38
まぁ、スパッツの生地とか靴の材質とかの指定は必要かも今後を考えると
コスチュームは主催者がどういう風なイベントにしたいかによるかも
一つに統一するか、多様にするか

基本的にkのルール作ってる人とdのルール作ってる人が違うしそこはいいんでは
審判だって角田さんがやっているわけではないし
Posted by at 2009年01月22日 20:48
まぁ、スパッツの生地とか靴の材質とかの指定は必要かも今後を考えると
コスチュームは主催者がどういう風なイベントにしたいかによるかも
一つに統一するか、多様にするか

基本的にkのルール作ってる人とdのルール作ってる人が違うしそこはいいんでは
審判だって角田さんがやっているわけではないし
Posted by dd at 2009年01月22日 20:48
日本って柔道への信仰心があるから、
スパッツを禁止にしても、道着を禁止する事ができないんじゃないですかね?
それでは矛盾があるからスパッツも禁止じゃないんですよ、きっと。

それに日本ではまだMMAってより”異種格闘技”って思われ方があると思うし、
ルールでの規制はしばらく無理なんじゃないでしょうか?

解決策はひとつ、青木がパンツ一丁で極めればいいんだと思う。
Posted by P好き素人 at 2009年01月22日 22:51
復活おめでとうございます。もうブログやめるかと心配してました(笑)
スパッツについては全面禁止でいいんじゃないですか?
着やシューズも含めて。統一したコスの方が文句も出ないですし
Posted by 田無 at 2009年01月22日 23:07
UFCの様に、ショートスパッツ若しくは
バトルパンツのみという風に規制するか。

でなければ、道衣なりロングスパッツなり
試合コスチュームに明確なレギュレーションを
設けるべき。

競技として確立させたいのなら、統一された
規則は何かしら必要かと。
Posted by iza at 2009年01月22日 23:23
青木も北岡も、汗かいてない試合序盤にちゃんと足関節極めて勝ってるわけで。
今になってスパッツの効果にされるのはおかしな話ですよ。彼らの技術はとっくに証明されているのに。

市販のスパッツと同じ普通の素材を使っているとのことなので、素材について基準を設けて守らせれば充分ではないでしょうか。
そもそも汗で滑らなくなる、というのはマイナス面が無くなるだけの話であって、極めの技術を上げるわけではありませんからね。
むしろワセリン塗るのを許可してるUFCのルールは、打撃を優遇しすぎた代物だと思います。
Posted by りゅう at 2009年01月23日 00:14
青木って武士道の頃にパイル地のスパッツ履いてませんでしたっけ?
Posted by yamada at 2009年01月23日 01:26
>今になってスパッツの効果にされるのはおかしな話ですよ。
誰がそんなこと言ってんだ?
「スパッツだから勝った」んじゃなく
「スパッツ着用の選手に有利になりすぎるなら
 不公平をなくすために規制すべき」だろ。

>マイナス面が無くなるだけの話であって
特定の選手にマイナス面が無くなるんなら
そりゃ不公平だろ。
Posted by hellharmony at 2009年01月23日 12:25
不利有利で言うなら、やたらとブレイクが早くて、直ぐにスタンドで戦わせてKOさせようとする現行のDREAMルールってグラップラーにとってはかなり不利ですよね。
ZSTみたいにクロスガード禁止して膠着の誘発行為事態を禁止させるならまだしも、極める体勢に入ってて技掛けるタイミング窺ってる時でも、膠着と見なされてブレイクが掛かるときとかあるし。

ここ最近、一本での決着(特にエスケープ方法が多く、古い技術と言われている足関での決着)が多いのは、スパッツ云々よりも、そーいったルールになれてきた選手自体のレベルが下がってきてるのも一つの要因だと思うんだけど。
青木や北岡に簡単に一本取られてる選手って、極端な打撃偏重型の選手が多いし。
Posted by ソルト at 2009年01月23日 13:10
あと、スパッツの件について言えば、ズルイだとか不公平だとかって騒いでるのってファンだけじゃない?
相手が公式のインタビューで「あれはズルイ」って発言した事って無いんじゃないかな。
今回の場合もただ単に青木や北岡が嫌いな人達が騒いでるだけのような気がするし。
MAXでスパッツが禁止になったのも魔裟斗が谷Pに文句言ったから急遽禁止になったんだしね。
Posted by ソルト at 2009年01月23日 13:21
別にテーピングとかヒザ当てで代用できちゃうレベルの効果でしょうからねえ。ロングスパッツって。
何を騒いでるのか、全く理解できませんね。正直いって。
Posted by aa at 2009年01月23日 16:16
エディ・ブラボーははっきりとロングスパッツはラバーガードにおいてとても有効な武器になると言っているわけで。

そもそもスパッツで極められるんじゃなく、スパッツで極めるまで逃がさないだろ。
例えば青木vs宇野戦で、青木がロングスパッツでなかったら宇野は背後からのレッグシザーズでも身体を反転できたかもしれない。
反転できてガードポジションの上になればそこで上の選手のポジションとなりジャッジのポイントは逆転するだろう。

それにそういう理論で影響がないのなら腕全体を覆うアームバンドだって良いということになる。
腕十字やフロントチョークなどかなり抜けにくくなるだろうが、抜けにくくなるだけで極まるかどうかは技術なのだから(という理論なんだろ?)。
そうなるとグラップラーはみんな全身タイツで闘うようになるだろうな。
ああ、キン肉マンがありならアームバンドも全身タイツも現状ありなのかw
Posted by ゲレロ at 2009年01月23日 16:47
将来を考えた場合は規制するのが当然ですよ
今は滑ろうが滑るまいが関係無いが
そんなのは論点をずらしてるだけです

d30製のレガースを作ったら凄い事になります
Posted by at 2009年01月24日 00:02
どうもです。
自分のブログに勝手におも格さんのブログをリンクしちゃいました。
駄目なら言ってください。
m(__)m
Posted by K作 at 2009年01月24日 19:51
どうもです。
自分のブログに勝手におも格さんのブログをリンクしちゃいました。
駄目なら言ってください。
m(__)m
Posted by K作 at 2009年01月24日 19:51
こんにちは。
石井さんと並べられてることに驚きましたw

>THE OUTSIDERで4冠をゲットした佐野さんは、格闘技はあくまで趣味とおっしゃる。彼のような有望選手が喜んでプロになりたいと思えるような、そんなマット界になってほしい。しっかりとした土台を作るのは、選手ではなく主催者の責任だ。

いやw
これは僕の実力不足の方が大きいですw
自分自身、プロでやっていけるものじゃあないと思っていますし
もし、プロ選手になったとしたら
1プロレス格闘技ファンではなくなってしまいますしね。
試合に出たいときに出て、プロレスと格闘技を楽しむので十分ですよw
Posted by 佐野哲也 at 2009年01月25日 00:22
おも格です。コメントありがとうございます。いつになく熱いコメントが多いことが、この論争への関心の高さを物語っているんでしょうね。
要は、ツッコミが難しいルールをこしらえること。それだけで解決できるレベルの話だと思った次第です。

●式さん
うむむ。スッキリとした条件下で見たい、スパッツだけの問題じゃない、ということですよね。

●みやさん
おひさしぶりです。マネージメントというか、長南みたいな形がベストじゃないかと僕は思ってますけど、うまくいくといいですねえ。

●ddさん
主催者の描く格闘技興行の絵によりますよね。このままでいいというのなら、それだけの興行だということかもしれません。

●P好き素人さん
僕も「異種格闘技」の空気が大好きなので、一概にコスチューム統一をとは思わないです。ただ、K-1なら禁止、DreamはOKというのは、やっぱり変だと思ってます。

●田無さん
ごぶさたしてます。とにかくルールを厳密化、というのも詮無い話だと僕は思うんです。土台としてのルール作りは見る側としても大事にしてほしいな、と。またマイペースで更新していきますので、よろしくお願いします。

●izaさん
本当は、それがいちばんわかりやすいですね。興行としての面白さを残しつつ、そのようなレギュレーション作りなどにも尽力してほしいですね。

●りゅうさん
素材について基準を作って守らせる、というのは現状ベストかもしれませんよね。僕もそう思います。そこから先、どうやって守らせるかという話にもつながりますが、そこはまだ考える必要はないかも。

●yamadaさん
そうでしたっけ? ルールで認められている限り、有利な素材を使うのは、選手ならば当たり前じゃないかな、と僕は思っています。

●hellharmonyさん
そうですね。あくまでも有利・不利の話であり、公平性の話です。選手への好き嫌いとかもあるし、ややこしいっすね。

●ソルトさん
そもそも、なんでK-1MAXで禁止したのかという問題がひとつありますね。これは団体の意識の問題ですね。膠着→ブレイクへのルールは、また別の問題じゃないでしょうか。それこそ興行として成立するかの最も大事な部分かもしれないって僕は考えます。

●aaさん
騒がれているなりの、理由があるからだと思いますよ?

●ゲレロさん
キン肉万太郎のコスチュームも凄まじかったですね。あれもツッコまれないように、やっぱり素材で規制をかけてほしいです。ああいうの、嫌いじゃないので。

●K作さん
リンクありがとうございます。うれしいです! うちも勝手にリンクさせていただいてます。

●佐野哲也さん
ネットプロレス大賞上位ゲット、おめでとうございます。佐野さんと吉永さんの試合を見て、理屈ぬきで心に響くものがありました。それはやはり、お2人のキモチが伝わる試合だったからだと思うんです。あんな試合をもっともっと見たいです。
Posted by おも格 at 2009年01月25日 21:19
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