2008年09月07日

読書の秋スペシャル★必読〜格闘技やプロレスの若いファンからベテランファンまでオススメの書!★「U.W.F.戦史」

かつて、新日本プロレスの一派閥を中心に、プロレスから格闘技へと脱皮しようとする運動が起こった。興行であることを前提としたその運動の歴史は、幾度もくりかえされたUWFの、脱皮の歴史である。


UWFの誕生は、後の格闘技全盛期を見据えてのものではない。アントニオ猪木がこしらえた借金を奇貨として、いびつな器が造成された。


その器に取り残された人間たちによって、限られた選択肢から最良と思われるものが選ばれる。倉庫を改造した道場で、たった4人の話し合いとスパーリングからUWFの試合スタイルは生まれた。記念すべき最初の脱皮である。


UWFは、ルール面や試合スタイルで試行錯誤を重ねながら、団体の分裂や選手の離散をくり返す。


分派のひとつ、高田延彦を擁するUWFインターナショナルは、1億円をかけたトーナメントなど他団体への挑発を重ね、新日本プロレスとの交流戦では記録的な数の観客が東京ドームへつめかけた。Uインターは、後の人気団体・PRIDEの礎となる。


藤原組はさらに分裂。規模は小さいながらもUWF系では最先端の実験を行う団体パンクラスを生み出す母体に。


そして前田日明率いるRINGSは、豪華外国人格闘家を多数そろえるとともにに、華やかな多国籍興行のパイオニア役をつとめた。格闘技ファンからの絶大な人気を獲得することに成功したRINGSは、その熱を一般層レベルにまで広げたK-1登場の土壌を作り、UFC誕生にまでも影響を与える。日本レスリング協会は、前田日明vsカレリンをモデルとして、総合格闘技協会構想に動きはじめた。


また、初期UWFに参加した佐山聡が、純格闘技ともいうべき団体・修斗を設立したことも忘れてはならないだろう。


さてここに、格闘技とは何か、という難しい命題がある。実験を重ねる過程での数多の試合が、果たして格闘技という呼称にふさわしいか否か。その答えは、格闘技というものをいかに捉えるかによって左右される。この定義問題には、万人が納得できるような解答がないのだ。


しかし、僕は思う。格闘技というものをいかに定義づけようとも、UWFとその後継団体が、現在の格闘技興行の基礎を築き上げたという事実は否定できないのではないだろうか!?


「格闘技で食える」ようにしたのは、まちがいなくUWFなのである。



★客観的に語るのが難しい、それがUWF


UWFという存在は、試合の評価やその設立・分裂時の裏話、人間模様を含め、今でもプロレス格闘技ファンの想像力を喚起する温床となっている。


それどころか、20年も前(!)のできごとについて、恣意的に選択した情報源から得たウワサ話を前提に記事を作成し続けている格闘技雑誌も存在する。現在の利害関係にもとづいた、政策的なキャンペーンである。


いや、UWFに関するマスコミの立ち位置というものは、なんらかの政治的意図に常に左右されてきた。だから、マット界の情勢に呼応して変化しつつも、このような構造自体は現在も機能しているとも言える。一部の雑誌においては。

うーん、我ながら固いなあ。パンチ


カンタンに言ってしまうと、UWFを客観的に検証できる方法は、ず〜っと存在しなかったんだ。



★やっとこういう本が出た


「事実」を客観的に検証するのは、プロレス・格闘技においてはとても難しい。当事者のうち一方の証言だけを取り上げられても、それを「事実」とすることはできない。


だけれども、過去の事象について、当時の報道を収集・分析することで「事実」に近づける手段がある。明治や大正、昭和初期の政治や社会情勢について、当時の刊行物からアプローチした書物は多々あるが、これは、プロレスや格闘技に関しては、誰もチャレンジしなかった手法である。


そのアプローチ法をプロレス格闘技関係で初めて用いた書籍。そこで取り上げられたテーマが、客観的検証の難しい「UWFの歴史」であった。


この記念碑的書籍が僕のイチオシする「U.W.F.戦史」である。やっとこういう本が出た。グッド(上向き矢印)グッド(上向き矢印)exclamation×2


著者・塩澤幸登氏は、専門誌のみならず、一般の週刊誌などの記事を丹念に拾い集め、そこから「事実」を読み解いていく。あえて関係者のインタビューをとらなかったこの大作を、塩澤氏は「歴史書」と位置づける。


うん、歴史書の名に恥じない、じつに読み応えのある一冊である。


賞賛の声があちこちから聞こえてくる一方で、文体がマジメすぎて読むのが大変だという意見もある。だけど、歴史の勉強というものは、読み応えのある書物に向き合わないことには始まらないのである!


残念ながら、ところどころ誤字がある。著者の資料解釈が必ずしも読み手のそれと一致しないこともあるだろう。とはいうものの、それらは本書を読みすすめる上で、僕にとっては邪魔になるほどのものではなかった。


秋の夜長。
格闘技の歴史をリアルタイムで体験してきた世代はもちろんのこと、最近の格闘技ファンやプロレスファンにもぜひこの本を読んでほしい。


古くからのプロレス格闘技ファンにとっては、知らなかった報道記事を読めたり、あいまいな記憶の再整理になる。


なんとなくUWFの存在を知っている程度のファン、とくにPRIDE以降の格闘技ファンや闘魂三銃士世代以降の新日本プロレスファンにとっては、格闘技界が今に至るまでのイバラの道をキチンと辿るための最適なテキストである。


批判を恐れず直言しちゃいます。


この本を読まずしてUWFの歴史を語るなかれ!
格闘技の歴史を語るなかれ!



まえにも同じようなことを書いたっけなアハハ猫
でも本気で言ってます。


ちゃんと読んだあとは、これまで以上におもろー!に格闘技やプロレスと付き合えること請け合いである。本


★U.W.F.戦史


内容紹介
前田日明、佐山聡、藤原喜明、高田延彦、カール・ゴッチ、木戸修、山崎一夫…昭和末期、今から25年前、プロレスの理想を求めて時代の荒野を猛スピードで駆け抜けようとした男たちがいた。最強の称号を求めて、UWFの旗の下に集まった誇り高き戦士たち、死中に活を求め総合格闘技の黎明期、汗と涙、血を流して闘った男たちの壮絶な死闘を、膨大な資料を渉猟して描きあげる。


YAHOO!ブックス



★Youtube格闘技について


プロレス格闘技の歴史的試合、現代のおもろー!な試合を紹介しているブログとリンクしていただいた。

その名もYoutube格闘技。動画で歴史にアプローチできる。いい時代ですね。
右上(PC環境によっては下)にリンクを貼ってあります。

人気ブログランキング
posted by おも格 at 02:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 格闘技 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
UWF戦史はページ数が多くて。いい本だけど
Posted by 田無 at 2008年09月07日 13:32
田無さん

僕は毎日少しずつナイトキャップにして、読み終えるまで数週間かけました。

でも、読み応えがある本って、嬉しくないですか?中身が伴っていると、とくに。
Posted by うほほい at 2008年09月08日 12:05
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/106132244

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。